綺麗なメダイ

綺麗なメダイ

こんにちは。

餡子は好きだけど、餡子のことはなにも知らない井浦です。

そんな井浦が、なにも知らないが故の独自の視点で和菓子を語ってみたいと思います。

 

落雁って見た目がカッコイイ

のっけから低脳な感じですね。でも、実際そう思いません?

落雁というと、お盆の時期に仏壇でよく見掛ける花や果物を模してあるアレが代表的ですね。スーパーに並ぶ落雁は大量生産のもののせいか、写真にあるような精巧さや趣を感じることはありません。なんて言うのかなぁ、昭和のニオイを感じるままごとのオモチャ?ですかね。色もどちらかというと食紅を使った不自然な色合いで、およそ食材で作られたとは思えないほど艶やかで発色が良いものばかりです。

和菓子屋さんで見掛ける落雁は、そのどれもがメダイのように精巧なクッキリとしたフォルムで、見ると手で触れてみたくなります。でも触れると壊れそうなので、触れずにジーーーッとその作りを目で楽しんじゃいます。まるで彫刻のようですもの。

 

落雁は木型で作る

本格的な和菓子屋さんに並ぶ落雁は、木型に砂糖や穀類の粉を混ぜたものを押し込んで型抜きして作るので、そら彫刻のようなフォルムになるわけです。

と言うことは、あの木型が落雁の形のキモになるわけですね。和菓子は和菓子職人がその類稀な技術を駆使して作り上げるわけですが、落雁は木型職人とのコラボ菓子ってことじゃないですか。二人の職人がぶつかり合い出来上がった作品としてみると、落雁の奥深さみたいなものを感じますね。

そんな木型も、職人が不足しているそうです。仏像などが芸術品として存在するのなら、木型もその領域にあっても良さそうなもんですけどね。そんで、そんな芸術的な仕事に憧れる人が増えたら良いのに。あ、余計なお世話か・・・(笑)

 

身近な落雁

子供の頃は、お盆が終わると食べることもなく捨てられるので、なんでだろうと思ってました。あくまでお供え用のアイテムであり食べるものとしては見てなかったからで、実際に盗み食いしたときあまりに硬く味気なく湿気たような感じで、とにかく美味しくない謎の食べ物でした。飾るだけなら、おもちゃでよくない?食べ物を粗末にするなって言うわりに、食べないものをわざわざ食材で作る意味あるんかいな、なんて思ってました。

世界のお菓子の中でも和菓子は何かを模して作られてるので、季節の移り変わりや仏様を感じられるようになにかの代替としての役目もあるみたいですね。そういう歴史から生まれた背景があるし、飾るアイテムだけどプラスチックで作ると味気ないし、食べないけど食材で作った落雁をお供えしましょうってことなんでしょうね。ちょっと寂しい和菓子だな、落雁。時代とともに役目が変化し、形としてそこに存在してるんでしょうね。

 

本当の落雁

いやいや、全部の落雁がそういうわけじゃないですよね。和三盆という高価で精製度の高い砂糖で作った落雁は、口に入れた途端にスッと溶けて柔らかい甘みと香りだけが口に残るそうです(これを落雁と言わずに和三盆とも言うようですね)。芸術的な木型で作られ彫刻のような落雁を目で楽しみ、口に入れると儚くも姿形はなくなるが存在感は残してゆく。

なんだか、和の世界への憧れが強くなる。落雁って、そんな和菓子に思えてきました。