季節によって楽しめる落雁が可愛い
- 2018.03.12
- 落雁

和菓子屋さんの主役ではないけれど、しっかりと脇を固めている落雁。
最近は色や形、味が季節によって、また作り手によってたくさんの種類があるのをご存知ですか?
こんにちは。
お豆大好きの名畑です。
私が子供の頃は、時々いただけた落雁。
でも今のようなものではなく、形は確か「しずく型」だった記憶があります。
売っているという認識ではなく、親が持ってくるという感じでした。
曹洞宗のお坊さんと大の仲良しだった父が月に1度お寺にお仕事に行くたびにお土産として持ってきてくれて、小さな落雁を家族4人で分けて有り難く頂戴していた思い出があります。
はるか昔、落雁は昔は身分の高い人でなければ口にできない贅沢な和菓子でした。
お寺では故人には最上のものをお供えするということで、落雁をお供えしていたようです。
また神社やお寺などで祈祷をお願いすると、お札とともに「お供物」という包の中に白と赤の落雁が入っていたものを渡されました。
その贅沢な落雁を、お供物で頂戴し、おさがりで家族で分けて有り難く頂いていたのですね。
昔の落雁は果物または蓮の形が多かったようです。
砂糖がなかった時代は果物が甘味として適してましたが、果物は夏の暑い時期はなかなか日持ちがしなかったので、果物を模して代わりにしていましたし、蓮の花は極楽浄土の象徴的な花で、最上の花という意味でその形を作りお供えしていました。
さて、今の落雁は進化しているんですよ。
まずは砂糖が普通に使われる時代になったため和三盆という上品な味で貴重なもので作られている和菓子が多くなりました。
和三盆をご存知ですか。
和三盆とは徳島県や香川県で作られている高級なお砂糖です。
和菓子の干菓子の原料として主に使われます。
和三盆は砂糖の原料のサトウキビの中でも四国原産の竹糖と呼ばれる種類を使い、伝統的な製造方法によって作られているお砂糖で、なかなか手に入らないのですが、上品な甘さが人気で落雁に使われています。
そして形も季節によっていろいろな形があります。
これは2月に買ったものなので、冬のイメージですね。
雪や雪だるま、ボタンの花等いろいろなイメージで作られています。可愛いですよね。
この形は、一つ一つが木型に入れて作られています。
和菓子屋さんで時々見かけませんか?
和菓子屋さんでずらりと並ぶ木型を見ると、歴史を感じます。
それもそのはず、この木型も作る職人さんは日本に数名しかいないそうです。
和菓子職人さんが落雁を抜きやすいように微妙に傾斜をつけて、出来上がりの重量まで綿密に作られるというまさに職人技です。
落雁の材料を入れて、型をポンと出せばきれいな模様になるように計算しつくされています。
図案から作る時もあれば、希望の図案が送られて作ったり、昔の型がすり減って作ったりするそうですが、日本に数名しかいない今はこの木型さえも重要なアイテムなのです。
落雁の中身も貴重な和三盆、そしてきれいな形を作るにも技術がいること、型を作る木型もとっても貴重なこと。
和三盆を作る職人さん、和菓子職人さん、木型の職人さんがいなければ今の落雁は成り立ちません。
和菓子屋さんに何げなく置いてある落雁ですが、実は作られるまでたくさんの職人さんの技術が集まって作られているものです。
可愛い形と美味しい中に秘められた技を食べてみませんか。
すっと口にとける様子に思わずうなずいてしまうかもしれませんね。
Love 和菓子